2020年シーズンに大きく飛躍した大山悠輔選手。
開幕スタメンから外れたところから、シーズン途中に三塁のレギュラーを奪い、最後は巨人岡本選手とのホームラン争いまで繰り広げました。
一気に大変化した大山選手ですが、なぜここまで成長することができたのでしょうか。
今回の記事では、成績・性格・メンタルの3つの分野から細かく分析してみたいと思います。
成績分析
まずは、今年の成績つまり数字から読み取れる成長を見ていきましょう。
真のスラッガーへ急成長
数字を分析した結果、着実にホームランバッターに近づいていることがわかります。
具体的にどこを見てそう思ったかを、書いていきたいと思います。
本塁打数
一番わかりやすいのはホームランの数です。
出場試合数が27試合減り(143→116)、打席数も115打席減った(538→423)にも関わらず、ホームラン数は14本から28本に倍増しています。
つまり、ホームランを打つ確率が飛躍的に上がったことは一目瞭然と言えます。
長打率
長打率についても、.401から.560まで飛躍的に向上しました。
ヒットの半分以上は長打になるということなので、非常に素晴らしい数字だと言えます。
ちなみに、ソフトバンクの柳田選手の今シーズンの長打率は.623でリーグトップ。
これが日本トップレベルの選手の目安ですが、着実に近づいているのではないでしょうか。
三振と四球の数
大山選手の大きな変化を感じる部分として、三振と四球の数の変化があります。
昨年に比べて三振と四球ともに数が増えているのですが、試合数も少ないことからより顕著な変化だといえます。
この2つどちらかが増減するのは分かりますが、両方増えるのは面白い変化と言えます。
四球が増えるということは選球眼がより向上しているという証拠、三振が多いのはミート率が悪い、つまりスイングが安定していないという証拠だと思っています。
ここからは僕の推測ではあるんですけど、この現象はフルスイングにこだわった結果ではないかと思っています。
ボール球は極力降らないが、ストライクがきたら積極的に手を出す。
ただスイングの安定性がないため、ボールに当たる確率がまだまだ低いというのが現状ではないでしょうか。
確かに今年の大山選手、初球から狙い球ではなくてもフルスイングしていくスタイルが目立ちました。
本人も、この目的意識を持って行っていると公言していましたよね。
フルスイングを意識した結果、三振と四球の増加という結果になり、ホームランの数も飛躍的に伸びたのでしょう。
この分析から、大山選手は阪神の主砲らしく成長していることがわかりますし、ぜひ2021年シーズンもこのスタイルを貫いて欲しいなと思います。
日本トップレベルとの差
昨年からの成長が著しい大山選手ですが、今のレベルはどれくらいなんでしょうか。
比較対象として、一番分かりやすいソフトバンクの主砲・柳田選手を選んでみました。
打ちに打ちまくった印象が強い柳田選手ですが、実は大山選手と似ている部分が非常に多いんですね。
ポイント
打席数:柳田427 大山423
本塁打数:柳田29 大山28
打点:柳田86 大山85
三振数:柳田103 大山96
打席数・本塁打数・打点はほぼ一緒だということは驚くべきデータです。
しかも、三振の数は大山選手よりも7個多いというのも意外だと感じます。
共通点が多いということは、一歩一歩スラッガーに近づいているということでしょう。
ただし、圧倒的に差があるのが四球の数と打率です。
ポイント
四球数:柳田84 大山41
打率:柳田.342 大山.288
これらのデータから、選球眼と確実性に大きな差があるということがわかります。
ボール球を振らないこと、そして甘いボールを確実に捉えること。
大山選手がワンランク上のレベルになるために、ここの改善が必要でしょう。
日本トップレベルの選手とどれだけの差があるのか、把握しておくのは非常に大切なことだと思います。
性格分析
次に、性格分析をしていきたいと思います。
既にご存知のとおり、大山選手は誰もが認める真面目な性格の持ち主ですよね。
一生懸命練習しますし、まっすぐな性格は素晴らしいと思います。
一方、控えめで目立たないいぶし銀タイプの性格なため、4番打者にフィットするかが不安でもありました。
4番打者は独特の世界観や雰囲気がある人が多く、阪神で言えば掛布さんや金本さんのような人ですね。
この性格的な部分がどう変化するのか、興味があって注目して見ていました。
変化が現れたのは、2020年のシーズンでした。
一番象徴的だったのが、初球からフルスイングすると言う取り組みでした。
なぜこれが象徴的だったかと言うと、打てなかった時のリスクを負ったからです。
チャンスの場面で初球で凡退したり、空振りしたら、当然バッシングが起こるでしょう。
ミスしたら大きな批判を浴びる取り組みを経て、大山選手も一回り大きくなったんだと思っています。
その挑戦によって、一気に雰囲気やオーラが強くなったように感じています。
真面目一辺倒の性格を破り、スケールの大きな選手になれたのではないでしょうか。
自分に回せば絶対大丈夫!と思われるような、絶大な信頼を得るためにも、今後も守りに入らず挑戦を続けてほしいなと思います。
メンタル分析
そして最後に、メンタルの分析をしてみたいなと思います。
大山選手といえば、かつてドラフト1位指名された時の白鴎大学黒宮監督のコメントがすごく印象に残っています。
阪神は人気球団ですから、ほかより反響が大きいのは当然です。これから、本人が慣れていかなきゃならない部分なんでしょうけど、今はまだ大山本人に免疫がないですから。もう祈るばかりですね。
素材としてのメンタルの強さは抜群だが、他人からの評価やバッシングは心配だというような評価でした。
特に阪神タイガースに関しては、ファンやマスコミは非常に声が大きいですからね。
賞賛も批判も大きく取り上げられるし、大山選手は茨城県出身なので、関西の文化になれるかどうかというのはとても大事な部分だったのではないでしょうか。
4年目のシーズンを終えた今感じるのは、大山選手は周りからの目や評価にとても強いメンタルを持っていることです。
そう感じる理由は二つあります。
1つは、いい意味での鈍感な性格です。
私が見る限り、大山選手はあまり周りの意見に左右されない鈍感な性格と見れます。
マスコミやファンの評価を気にした発言を見たことがないですし、おそらく気にしていないのでしょう。
もう1つはメディアとの良い距離感です。
今の時代、SNSやネットニュースなど色んなところから簡単に情報を取ることができますが、大山選手はそことの距離感が上手いんだと思います。
実際、大山選手はSNSの個人アカウントを持って発信しないですし、一定の距離感を保っているんだと思います。
今の時代とても大事なスキルですね。
熱血タイガース党では、よくYouTubeを見ているということをおっしゃってました。
プライベート用らしく、自分自身の動画を見るために使っているとのことでした。
白鴎大学の黒宮監督が危惧していた心配とは裏腹に、大山選手は自分自身が野球に集中できる環境をうまく作り上げているようですね。
その他
それ以外で私がとても素晴らしいと感じているのは、大山選手の人間関係です。
熱血タイガース党で話されてましたが、大山選手の一番の仲良いのは近本選手なんだそうです。
これは非常に朗報だと私は思いました。
なぜそう思うかと言うと、仕事でもスポーツでも人は環境や付き合う人によって成長するかどうかが決まるからです。
野手で最も活躍した近本選手と行動をともにすることで、良い意味での刺激や学びがたくさんあるでしょう。
付き合うべき相手としては最適だと思うわけです。
お互いで切磋琢磨して、ぜひ阪神の野手陣を引っ張って行って欲しいなと思います。
まとめ
このように、大山選手は性格・メンタルの両面が着実に成長したおかげで、成績が飛躍的に伸びてると言えます。
自らの野球環境においても素晴らしい状態にあると言えるので、2021年もおそらく期待していいと思います。
今の大山選手のまま、一歩ずつ真の主砲に近づいてくれることを心から応援しています!